文・塚田 聡

『ボヘミア・ベートーヴェン紀行 《不滅の恋人》の謎を追って 』
青木やよひ著  東京書籍 1995年発刊


ボヘミア・ベートーヴェン紀行 《不滅の恋人》の謎を追って表紙

「私の天使、私のすべて、私自身よ」と書き出されるベートーヴェンの死後に秘密の場所から見つけられた「不滅の恋人」に宛てた手紙。

この手紙がなぜ書き手の元に保管されたままだったのか、相手は誰なのか、容易に解答の出ない謎に多くの学者が挑み続けるも、未だに確定されるに至っていないミステリー。

ウィーンの貴族が避暑に出かけるボヘミアの森の中に点在する温泉保養地で交差する人間関係。ゲーテがベートーヴェンに道を譲ったという出来事もテプリッツという街中でのこと。 そんなボヘミアの温泉保養地を舞台に繰り広げられたベートーヴェンをめぐる恋愛事件を解き明かすのに生涯をかけた日本人女性がいました。

青木やよひさんは当時の郵便馬車の頻度やホテルの宿泊名簿に当たるなどの調査を通じ、一人の女性を「不滅の恋人」と決めるに至ります。 周到な調査による点と点を埋めていく想像豊かな仮説は推理小説を読み進めるようでハラハラドキドキ。 青木やよひさんがこの本で行き着いた女性は、その後、「不滅の恋人」の最有力候補として世界的に認められるに至ります。

この本に花を添える豊富なカラー写真、自然描写の巧みな紀行文。まだ見ぬ地、ボヘミアへの憧れが高まります。最終章では、ベートーヴェン後期の作品109と110の2曲のピアノソナタが頭の中で鳴り渡り、大きな感動に包まれます。

「ボヘミア・ベートーヴェン紀行」から大いに刺激を受け、妻と共に〈ベートーヴェンをめぐる女性たち〉というコンサートを企画したことがあります。青木やよひさんにも演奏会場まで足をお運びいただきました。
青木やよひさんが亡くなられてもう8年の年月が経とうとしています。

ボヘミア・ベートーヴェン紀行 《不滅の恋人》の謎を追って

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ボヘミア ベートーヴェン紀行 不滅の恋人の謎を追って [単行本]
 ※こちらには2014年発刊とありますが、もともとは1995年に発刊された本で現在絶版です。

・・・管理人より・・・
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塚田 聡(つかだ さとし)
古典派音楽をこよなく愛するホルン奏者。フラウト・トラヴェルソを愛奏。
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