文・塚田 聡
『冬の旅 24の象徴の森へ 』
梅津時比古著 東京書籍
2007年11月29日発行
シューベルトの《冬の旅》第1曲"Gute Nacht"(おやすみ)の、同時に"Winterreise"(冬の旅)の冒頭の単語、"Fremd”は普通「よそ者」と訳されるが、共同体、社会の側からの〈よそ〉の〈者〉だけではなく、その〈者〉の方からも社会になじめず違和感を抱いているニュアンスがあるという。 日本語の「おやすみ」にはない、破滅的要素が影を投げ掛ける"Gute Nacht"という言葉の潜在的な意味。
"Fremd"を「はずれ者」と訳す梅津時比古さんの著した400ページに及ぶ《冬の旅~24の象徴の森へ》は、興味深い問題提起に溢れていて、1ページ目から釘付け。どこともしれない世界を巡らされるこの歌曲集の奥深い世界に、この著書と共に、更に深く足を踏み入れてみては!
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冬の旅―24の象徴の森へ [単行本]
塚田 聡(つかだ さとし)
古典派音楽をこよなく愛するホルン奏者。フラウト・トラヴェルソを愛奏。
メヌエット・デア・フリューゲル
ラ・バンド・サンパ
古典派シンフォニー百花繚乱
ナチュラルホルンアンサンブル東京