文・中嶋 恵美子
『ダニエル・バレンボイム自伝 増補改訂版』
ダニエル・バレンボイム著/蓑田洋子訳 音楽之友社

ご紹介する1冊目の本をどんな本にしようかと悩んだのですが、たくさんの目からうろこに出会い、音楽を学ぶ上で大切な視点を与えてもらった本を1冊目とすることにしました。
ヨーロッパでの体験、子どもから大人への過渡期の体験、指揮者としての体験、オペラの体験などを通し、バレンボイムが経験から学んできた音楽の根幹に触れる上質で魅力的な事柄を真摯に語ってくれており、私の本は折り目だらけの線だらけ。(笑) 線を引いた箇所は、何度読んでも感銘を受けます。
ー オーケストラのクレッシェンドを実感するためには、全楽器が同時にスタートしてはならない。クレッシェンドは、すべての音が聴き取れるようなやり方で有機的に組織化されなければならない。つまり、それぞれの楽器の音が完全に伝わってこなければならない。指揮者というものは聴覚的に考えることができなければならない。
この文章に出会ったときは感激でした。これはピアノ演奏にも応用できることで、ムジカノーヴァ連載『表現のコツ』に書いた根底には、ここから学んだことが流れています。
残念ながらAmazonでは取り扱いをやめているようでしたが、絶版になっているわけではないので、お近くの書店で取り寄せるか、音楽之友社サイトでの購入が可能です。
http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=217490

中嶋 恵美子(なかじま えみこ)
ピアノ指導者。著書に『あきらめないで!ピアノ・レッスン』(ヤマハミュージックメディア、2011)、『発達障碍でもピアノが弾けますか?』(同2016)、『知っておきたい幼児の特性』(音楽之友社、2016)がある。
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