文・塚田 聡
『ピアノ協奏曲の誕生 』
小岩信治著 春秋社
発行5周年記念!
19世紀のピアノ協奏曲は宝の山なのに、普段演奏されているロマン派のピアノ協奏曲は10曲あまりしかありません(指折り数えてみてください)。そんな貧しい状況にまず気づかされます。
協奏曲の演奏会がサーカスの見世物のような名人技を競い合う会場と化したかのような状況に危機感を抱いたメンデルスゾーンは、さてどのようは方策を考えついたでしょう。
この本で紹介されているほとんどのピアノ協奏曲は”Hyperion”などのレーベルから録音が出ていて、それらは”YouTube”で聴くことができます。
このジョン・フィールドの第2番のコンチェルトは、ショパンがコンチェルトを書くはるか前の1811年に作曲されたもので当時一世を風靡していた曲です。ショパンの名曲もいきなり生まれたのではないことを実感されることでしょう。
ロマン派の時代に生きていた彼らの価値観に寄り添う必要がありますが、そんな脳内空間移動をするだけで、こんなにも豊かな世界が広がってくるのですから、楽しまない手はありません。 視点をちょっと変えると広がる世界。その手伝いをしてくれる本書を片手に音楽生活をさらに豊かにしてみてはいかがでしょう!
ヴィルトゥオーゾが技巧的なソロを披露し聴き手をわくわくさせる多彩な「ソロ楽節」
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ピアノ協奏曲の誕生 19世紀ヴィルトゥオーソ音楽史 [単行本]
塚田 聡(つかだ さとし)
古典派音楽をこよなく愛するホルン奏者。フラウト・トラヴェルソを愛奏。
メヌエット・デア・フリューゲル
ラ・バンド・サンパ
古典派シンフォニー百花繚乱
ナチュラルホルンアンサンブル東京